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原作と作曲/藤田圭雄

(OMだより42号:平成4年発行より掲載)

 野口雨情の「証城寺の狸囃」は、大正十三年十二月号の 「金の星」に掲載されました。 作曲が載ったのは翌年の一月号ですが、その時中山晋平は 全面的に歌詞を変えています。

原作は
「証城寺の庭は 月夜だ月夜だ 友達来い
 おいらの友達ァ どんどこどん」
といった調子のものでした。
それが今うたわれている歌では
「証 証 証城寺 証城寺の庭は
 ツ ツ 月夜だ 皆出て来い来い来い
 おいらの友達ァ ぽんぽこぽんのぽん」
と、ぐっとハデになっています。

 晋平は自信の強い人で、自分でいいと思うと はっきり直しています。
 昭和四年一月号の「コドモノクニ」と 「幼年倶楽部」に同時掲載された西條八十の 「毬と殿さま」でも所々、八十の原作と晋平の 作曲とでは違いがあります。

「てんてんてまり」→「てんてんてんまり」
「お屋根をこえて垣こえて」→「垣根をこえて屋根こえて」
「やっこらさのさ」→「やっこらさのやっこらさ」
「わたしに見せて下さいな」→「私に見させて下さいな」
「二年たっても」→「三年たっても」
などです。

「てんまり」と一字ふやした方がぐっと力がこもるし、 「垣」より「垣根」、「二年」より「三年」の方が ずっと口調がよく、曲を別にしても晋平の訂正は 悪くありません。
「見させて」というのはちょっとおかしいけれど、 その他の部分は作曲によって歌詞もよくなっています。

 「毬と殿さま」は八十と晋平の傑作ですが、二つの 雑誌の新年号に「同時掲載」されています。今日では 一寸考えられぬことですが、童謡の全盛時代には こんなこともありました。